インタビュー

有名になるには武器を作れ── ゲーム実況は仕事にするべきか ゲーム実況者ライバロリさんに聞いてみた(中編)

有名になるには武器を作れ── ゲーム実況は仕事にするべきか ゲーム実況者ライバロリさんに聞いてみた(中編)

[画像出典] YouTube – 「vsもこう先生!?絶対に負けられない闘い…。」

eSportsが2022年アジア大会のメダル種目に決定されるなど、ゲーマーのプロ化が進んでいる。一方で、2016年に大阪府内のある小学校が「4年生男子の将来の夢」を調査した結果、3位に「YouTuber」がランクインし、その勢いはさらに増しているという。果たして収益を目的に動画投稿をするべきか、ゲーム実況者のライバロリさんに伺った。

前回「小学生に将来の夢「YouTuber」急増」はこちら。

動画投稿で生活できるライン

ライバロリ 僕の結果をベースとして、ゲーム実況の場合に最低どれくらい数字があれば生活できるのかってラインが分かってきて。

動画の広告って1個だけじゃなくて、10分以上の動画だったら2個以上つけられるんですよね。これ自体は結構有名な話なんですけど、ゲーム実況動画だと10分以上の動画作るのが簡単なんです。
 
 

―― 大体10分から15分くらいのものになりますね。

ライバロリ そうそう。だから5万再生の動画に広告2つ載せるじゃないですか。となると10万再生で広告が1個しかついていない動画とほぼ同じくらいの収益が出るんですね。それで考えると、再生数3万の動画を毎日動画投稿していけるだけのポテンシャルがあれば、もしくは1本あたりの再生数は3万を下回っていても1日あたりの動画の本数を増やすことができれば、普通に生活できるだけのお金は今のYouTubeの現状だったら貰えると思ってますね。思ったより再生数少なくても生きていけます。
 
 

―― ライバロリさんの今の1本あたりの再生数は10万ほどですね。

ライバロリ そうですね。企画とかがウケたらもうちょっと伸びます。
 

マイナーポケモンで強いポケモンを倒していくのを見て「お、すげえな」って思った

―― サトシパ(※)企画ウケましたよね。

※アニメ『ポケモン』の主人公が使用しているポケモンで組んだパーティ。ピカチュウ、ゼニガメ、リザードン、ラプラス、カビゴンと初代のポケモンで統一してあり、今のポケモンに触れていない人でも知っているポケモンが使用されている。

ライバロリ ああいうのを僕がやっている理由は、僕が元々最初にポケモン動画を投稿し始めた理由は、単純に見られたいからだったんですけど、今はポケモンをやっていない人にも見てもらえるような動画づくりを心がけていて、だから種族値とかも動画の下部分に載せてるんですけど、これって普通は載せなくていいんですよ。ポケモンやっている人に見てもらえる前提の動画だったら、このポケモンは大体素早さこのくらいあるっていうのを分かってて見てるから。

でもポケモンをやってない人にも見てもらいたいなと思ったら、種族値とか入れたほうが取っつきやすいし、サトシパとか企画系の動画は、ポケモン対戦をやっていない人でも取っつきやすいんですよね。

ポケモン対戦の使用率上位にいるポケモンって、対戦をやってない人達はあまり知らないポケモンなんですね。それを使って勝ってても意味が分からないと思うんですよ。

僕もそうだったんですけど最初にポケモン対戦動画を見て「お、すげえな」って思ったのって、例えばもこう先生の動画なんですけど、マイナーポケモンで強いポケモンを倒していくっていう動画なんですね。「読み」を駆使してより強いポケモンを倒していく動画を観て感動を覚えてポケモンというゲームに興味を持っていくのが大体の人のスタートだと思うんですよね。

だから僕もそういう動画を作りたいなと思って時々やっていますね。
 
 

―― 実際世界大会で優勝したSejunさんが大きく注目されたのも、おおよそ対戦向けとは思えないパチリスを使って優勝したからですもんね。

ライバロリ そうそう、パーティのアクセントになりますね。ああいうのって使っているだけで注目の的になるから。

でも企画系のパーティって見てる側は楽しいんですけど、制作側は結構しんどくて、まず考えるのにも時間がかかるし、負ける時は結構立て続けに負けるので納得いく試合が撮れるのに時間がかかるっていう(笑)。パーティ考えてる段階ではもっと勝てると思っていても、実際はそんなに甘くないですよね。

ただポケモン対戦動画は、ニコニコ動画とか見ててもわかるんですけど、ガチ対戦動画よりも企画系の方が伸びるんですよ。それは誰でも見やすいから。ネタ系の動画は、ガチ対戦やってる人も観れるし、ポケモンやってない人でも観れるから、そういったアイディアを持っていたり、マイナーポケモンを活躍させるだけのスキルがある人だったらそっちメインでバンバン上げていくのがいいと思います。

ガチ対戦動画が伸びないってわけじゃないんですけど、こういう動画って今ありふれてるじゃないですか。そしてレートが高いとかの強さって、動画が伸びる指標の一つにはなると思うんですけど、継続的に観てもらえるかどうかはまた別のところにあると個人的に考えています。あくまでレートが高いっていうのは観てもらえるきっかけなだけであって、最終的に動画投稿主のことを見てもらえるかどうかというのはその人のキャラクター性次第で決まると思っているんですね。

 

動画投稿で有名になるには

―― 動画投稿で有名になるにはどうすればいいですか?
ライバロリ 僕の場合ポケモンしかないので全然参考にならないですけど体験談で話します。

僕は「ブラック2・ホワイト2」(2012年6月発売)の時から、どうやったら視聴者が増えるだろうっていうのはずっと考えてて、深夜に放送していたんですよ。深夜って放送数が絶対的に減るじゃないですか。でも大学生はその時間も起きてて、その時間の暇つぶしを求めている人が多いので、そこをターゲットに配信していました。しかも単純に対戦をするだけではなくて、毎回「50勝するまで寝ない」とか縛りを掲げてやっていました。12時間くらいかかって全然寝れなかったんですけど(笑)。これを週3~4回ペースでやっていました。これを1年くらい続けていたら、放送を開始するだけで500人くらいの人が一気に観に来てくれるようになって波に乗ることができたと思います。

最初は質より量といった感じで、さらにそれを定期的な時間に放送することでその時間帯にうろうろしている視聴者を捕まえるっていうのをやっていました。ただこれは5年前のやり方なんで、今うまくいくかどうかはわかりませんがターゲットを定めるってのは大事だと思います。
 
 

―― 今イチから始めるとしたらどういう戦略を立てますか?
ライバロリ なんらかの武器を1つ作ります。例えばレート高いとか。また、レート1位じゃなくても特定のポケモンにこだわりを持って動画投稿している人っているじゃないですか。そういったポケモンを使って高レートをたたき出すとかも武器になると思いまし、ほかにも色々あると思います。

ネタ系だったら、縛り・・・うーん・・・でも僕タイプ統一とかは伸びないと思うんですよね。なんかもっと見たことのないインパクトのある動画で、かつ持続性のある企画を見つけることが大事ですね。

最初は動画を観てもらうきっかけが必要で、投稿者のキャラ付けはその次ですね。自分がどういう人間なのかしっかりと伝えられて、それを観てくれた人が継続的に観たいなと思ってくれたら勝手に伸びていきます。

でも最初は観てもらわないと始まらないから、そのきっかけとなることを入れて動画投稿するのがおすすめなんですけど、これでも必ず成功するとは限らないので、あくまで僕だったらそうするって話です。
 
 

―― 動画に元気さって大事ですか?
ライバロリ あまり関係ないと思います。大人しい系を求めている人もいますし。

 
 

―― 「成功には色々なパターンがあるが、失敗には共通点がある」といいます。これをしてはいけない!といったことはありますか?
ライバロリ ポケモンの場合ならありますよ。ニコニコ動画とかだったらPart1、Part2・・・ってタイトルにつけると思うんですけど、伸びてないのにPart10とかまで投稿し続けているのは意味ないと思います。Part10まで投稿してるのに再生数が200とか300とか止まりの人。こういう人は新しい企画を考えて別の動画に変えたほうがいいと思います。
 
 

 
 

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人物紹介:ライバロリさん

福岡県生まれ。京都府在住。現在23歳。「ポケモン」シリーズを中心にゲーム実況を行い、テンポの良い動画編集と軽快なトークで人気を博す。
YouTubeのチャンネル登録者数が「ポケモン」シリーズの実況のみで10万人を突破。
アイコンのキャラクターは中学生の頃にクラスメイト内で流行ったオリジナルキャラクターで、名前は「バー」。彼のトレードマークとなっている。

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