「あと一撃で勝てたのに。」そこに秘められた大きな実力差とそのメカニズムを解説します
めがね/Megane│2017.3.17
こんにちは。皆さんは「あと一撃当てれば勝てたのに!」という悔しい経験はありませんか?
惜しいように見えて実は思っている以上の実力差が存在してるんです。
登場人物
たかし:マーベラスなマルス使い
えりか:ファビュラスなフォックス使い
ある日のこと
カチャカチャ
カチャカチャカチャ
カチャカチャカチャカチャ
ぬわーーー!!
!?
また負けちゃいました!いつもこう!
びっくりした。でも…。
今回も僕の勝ちだね。
いつも惜しいところで負けちゃうんですよね。あと一撃で当てれば勝てたのに!
ん?
あーあ。悔しいなあ!
えりかちゃん、今なんて言ったの?
え?「ぬわーーー!!」って。
ちがう。そこじゃない。もっとあと。
「あと一撃当てれば勝てたのに!」って…
えりかちゃんは「あと一撃当てれば勝てるくらいの実力差になってきている。ここまでくれば最後の一撃が当たるかどうかなんて時の運とかタイミングみたいなもんだし実力差はほぼなくなっていると言っても過言ではない。」といいたいのかな?
ま、まあそうですね。少なくとも前よりはダメージを与えられてるし、実力差は殆ど無くなってきてると思います!
ゴゴゴゴゴゴゴ
すごい形相をしているようですけれど、顔のパターンがそれしかないから読者には何も伝わってませんよ…。
そ、そっか…。
とにかく!あと一撃のとこまでこられたからもう少しで実力差が逆転するとか思ったら大間違いだよ!異端だ!異端異端!
そんな中世の異端尋問みたいに言わなくても…。
このことについてTwitterの格ゲーマー名言botに次のような言葉があるんだ。
「例えば有名人とか格上の人と対戦して負けた時に、『1ラウンドはとれたのに』とか『あと一発分で勝ってた』とか思ってしまうのは心情的には分かるがおそらく無意味。」(1/2)
— 格ゲーマー名言bot (@kakugemameigen) November 19, 2013
「その人はそれくらいの接戦を数えきれないほど制してきているからこそ格上なのである。その"たった一発分"はおそらくかなり大きい差。 」 ウリアッ上 13.9.8 ツイッターより
— 格ゲーマー名言bot (@kakugemameigen) November 20, 2013
あれれ。私ったらとんでもない思い上がりをしていたんですか?でも、そんなに大きい実力差が存在しているの?
じゃあ今回は「あと一撃で勝てたのに。」に秘められたメカニズムについて解説していこうか。
勘違いを起こす原因
そもそも、何故勘違いをしてしまうのかわかるかい?
んー。僅差で負けているからですか?
それもそうなんだけれど、掘り下げて言うと試合の実力差を図る指標として可視化されるものがストック(又はゲージ)しかないからなんだよね。
本来、プレイヤーの実力というのは様々な要素で構成されているよね。
操作精度、立ち回り、コンボ火力、これに加えてメンタル的な要素など、様々な要素が勝敗を決めるんだ。
でも、いざ勝敗が決まってリザルト画面を見た時、それらは可視化されてるかい?僕とえりかちゃんの立ち回りに点数がつくかい?
ワンパターン戦法-2000点ぐらいしかわかりませんね。
評価性乱闘の話はややこしくなるから今はやめて。
でも確かにその試合のコンボや立ち回りにいちいち点数がついたりはしませんね。
そうでしょう?様々な要素が無理矢理ストック(ゲージ)に集約されているため勘違いを起こしがちなんだ。
表面(ゲージ)だけをみて全て(実力)を知った気になるなってことですね!
そうだね。それが許されるのはインターネットを見て世界の裏側を知った気になっている中学生ぐらいだよ。
誰が中学生だワレ!!!!!
そんなに大きな実力差があるの?
勘違いしてしまう理由はわかりましたけど、そんなに大きな実力差があるんですか?土壇場までは追い詰めているんですよ?
土壇場まで追い詰めればいいってものじゃない。勝負は土壇場まで追い詰めてからが勝負なんだ。
???
いわゆる底力ってやつだよね。
終盤接戦になればなるほど底力は露呈されていくんだ。初心者が序盤と同じ行動をとっているとしたら、上級者は次から次へと新しい立ち回りをしてくる。
幅広い選択肢をもっているかどうかってことですね。
立ち回りだけじゃなく操作精度もね。初心者は接戦になってくると負けたくないがあまり難しい行動を避け安定した技ばかり振ってしまう。
こういった要素の積み重ねが、結果的に勝敗となってリザルト画面に映し出されるんだ。
んーーーイマイチ納得できるようなそうでないような…。
羽生善治を知っているかい?
ええ、あの将棋の人ですよね。
羽生善治が以前こんな言葉を残しているよ。
「1局のうち真に実力が出るような結論の出ない局面は2,3手しかない。」
プロと幼稚園児の試合とかでない限り、サッカーだったら相手ゴールに近づくことぐらいはできる。将棋だって王に近づくことぐらいはできる。スマブラだってダメージを与えること、ストックを落とすことぐらいはできる。
勝敗はどうであれ表面上だけでも拮抗してるように見せるだけならある一定以上の実力があれば見せられなくはない。
だけれど、それができるからといって勝てるかどうかとはまた別問題なんだ。
いいかい?
(このパターン…今日のまとめの台詞がくるわ!)
勝てるかどうかというのはどれだけダメージを与えられるかじゃない。いかに要所要所でチャンスを拾えるかなんだ!
えぇ!?勝てるかどうかというのはどれだけダメージを与えられるかじゃない!?いかに要所要所でチャンスを拾えるか!?
いや、別に無理して復唱しなくていいから。
チャンスを拾ってるかどうかなんて可視化されないからダメージだけを見て誰々に勝ちそうだったと言ってしまうのはわかるけど、それはたらればの話で実力を表す指標にはならないんだ…。
えりかちゃんはさっき僕に惜敗したように見えて実は…
実は…?
普通に負けた。
普通に。
そう、普通に。
ぬ、ぬわーーーーーーーーーーーー!!!
って言いたいところですけど、本当は最初からわかってました。
なんだって?
あと一撃まで追い詰めてはいたけど、操作精度やコンボ火力はたかしくんよりはるかに劣っていていることぐらい。
なら何故…。
いいですか?
たとえ指標にならないとわかっていても、一喜一憂してしまうのがゲーマーの悲しい”サガ”ってやつなんですよ…。
燕がヒナを失っても巣にエサを運び続けるように、我々ゲーマーもまた”運命の奴隷”なのかもしれない。
おわり
めがね/Megane
スマブラDXプレイヤー。ビジョンキャンセルが得意。
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